08MS小隊のラスボスといっても過言ではないギニアス=サハリン。
技術将校である彼は新兵器としてアプサラスを製作し08小隊に襲い掛かります。
しかし、技術者としての彼は知ってはいてもその人となりは本編からしか想像できません。
そこで今回はギニアス=サハリンにスポットを当てて見たいと思います。



ギニアス=サハリンとは? 貴方の夢は一体何?



ギニアスはジオン軍の技術将校でありあの年齢(実際何歳かは分かりませんが)で閣下と呼ばれる(つまり将官)と言うことはシャアよりも階級は上だったりしますね。
1話でアイナが乗ってくるザクも恐らくはプロジェクトの一環なのでしょう。プロジェクトを任されると言うことは階級もありますが才能もあったということを示していますね。
さて彼の生い立ちですが、一時は栄華を誇っていたサハリン家の出身です。しかし、サハリン家は没落し周りにはアイナとノリスを残し誰もいなくなります。
これを思春期あたりに体験したギニアス少年。歪みますよね?普通…。
母親さえいなくなった。この思いをぶちまけた伝説の名言がありますよね。これが彼と言う人間をあらわしているように思います。



「愛など粘膜が作り出す幻想に過ぎん!!」



08初見時の僕はこんな台詞はいて大丈夫なのかと思うと同時にギニアスの思考回路の素敵さを称えたものですが良く考えてみたらこの台詞以上に彼を語る台詞はない様に思います。
恐らくサハリン家というのは彼の父親の才覚によって支えられていたのでしょう。だから彼の父親がいなくなったときに残ったのは病弱な兄と幼い妹。欲深き人間からすれば鴨がネギしょってるように見えますね。
よってサハリン家は没落、頼れるものはほとんどいない。これじゃあ人間不信になってもおかしくはない。
だから自分以外の開発スタッフを爆殺したり、アプサラス開発のジャマになったユーリ=ケラーネを謀殺したりと自分以外の人間をないがしろにする行動を連発します。
科学者としての栄光を独り占めにしたかったという面もあるでしょうが少年期に孤独にさいなまれて歪んだ人格がそうさせたのでしょう。
自分の欲求さえ満たせれば後はどうでもいい、自分がピラミッドの一番上に存在している…みたいな感覚を僕は覚えました。
ええ、曰く彼は自己中心的な人間ではないかと思います。
まぁ、彼の境遇を考えてみれば情状酌量の余地はあるかと思いますが…
ですがこの発言は流石にどうよ、と思いました。



「さようならアイナ。嫌いではなかった。」



マテ。いつからアイナは貴方の所有物になったのかと。
まぁ、確かに「私の手足になってくれ」といって彼女が了承したから彼的にはそれでいいのかもしれません。
でも人道的には大きく間違ってますよね。本編では彼はもう動けるんだし。
彼がアイナを自分のものとして考えているんなら変則的なシスコン?(ぉ



そして最初の「愛など〜」の発言の考察に入ろうと思います(遅
これはアイナも「だからこんな鉄の子宮が必要だったのね」と言っているように…。
十分にもらうべきだった愛情を母親からもらえなかった意趣返しと取れました。
こんな発言をしているのも彼は愛情に飢えているからその反発で言ってしまったのではないでしょうか?
あれ、兄さん潜在的なマザコンですか?
とも取れる表現であると思います。



そういえば小説版でアプサラスを作った理由は幼い頃に体験した光をもう一度みたいというこれまた既知GAY素晴らしい理由から製作を開始していますね。
つまり、小説版はギニアスの狂気を科学者としてのものととらえて書いています。
では、製作理由について明記されていない本編ではなんなのでしょうか?
まぁ、今まで僕が展開してきた論理からするとすぐに分かるものかと思いますがね…。アイナに「鉄の子宮」と呼ばれてムキになっていたところを見ると無意識的にでもそれを考えていたのかもしれないですね。
そして自ら製作した兵器で戦争を勝利に導くことで名声を手に入れあわよくばサハリン家復興…。
幸せだったあの頃への回帰願望が少なからずあったのではないでしょうか?



小説版でならこういうことも考えずにマッド一直線だったギニアス。
ですが現在本編を見た僕が思ったのはアイナではないですが「可哀想な人」でした。
「愛など〜」といっても心の奥底では愛情を求めており幸せだった頃を夢想するような人に見えて仕方ありませんでした。
ほんのちょっとやり方を間違えてしまってあのような狂気に蝕まれてしまいましたが、彼はもう一度あの頃を自らの手で作り出そうとしていたのではないでしょうか?
アプサラスを完成させて皆に褒めてもらいたい、それを邪魔する奴は排除する…といったようなのは凄い子供じみた癇癪のように見えます。
彼の時計は幼い頃で止まっていたのではないのかなぁ…と最近思うようになりました。
やっぱり彼は「可哀想な人」なんだな、と思います。



自らの夢を果たすことなく散っていったギニアス=サハリン。
狂っていたのかと問われればやはりそうなのでしょう。
ですが、その温床はなんだったのか。今回の考察で少しでもギニアスという人間を掘り下げられたかなぁ…と思います。

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